子猫が初恋提供します。
気づけばあたしの世界は反転していて、白い天井と、潤んだ黒い瞳であたしを見下ろす夜がいて、ベッドに沈んだあたしは押し倒されたことに気がついた。
「あっ!!」
夜があたしの胸にそっと耳をあててきて、驚きに心臓が跳ね上がった。
「ドキドキいってる…」
「よ…、る……っ」
何だか訳が分からなくて、どうしていいのかわからないあたしは、夜に向かって手を伸ばした。
熱い大きな手が、あたしの手を迷わずぎゅっと掴んだ。
「俺も……、そう」
「!」
その手をいつかみたいに自分の胸にぎゅっとあてた。
熱い大きな手、激しい鼓動、そして黒く輝く瞳に、捕らわれる。
「にあ、好き」
甘い甘い声で、キラキラした黒い瞳が、これでもかってとろけてる。
あなた、孤高の王子様なんじゃなかったの?
あたしを見る目が、言わなくたって好きって言ってるよ…。
恥ずかしくて、ちょっと怖くて、でも嬉しくて。
そして、ただただ…夜が好きで。
色んな感情をごちゃ混ぜにしたモノが、ぽろりと一粒目から零れた。