子猫が初恋提供します。
優しい仕草で、夜があたしの目尻にキスを落とす。
そのままゆっくりと胸と胸が重なり合った。
ドクドク激しく鳴る胸の音が混ざりあって、夜の音なのかあたしの音なのかわかんなくなった。
まるで身体全部が脈打っているみたいに。
「重い…?」
あたしに覆い被さる夜がそっと囁く。
「平気…」
ぴったり重なりあった身体を通して響いてくるような声に、訳もわからず胸がきゅうっとしてあたしは小さな声で答えた。
長身の夜が軽い訳はないけど、そんな重さも、心地いいと思った。
ばくばくと心臓はうるさいのに、あったかな腕の中が気持ちいい。
目を閉じて、恐る恐る夜の広い背中に腕を伸ばした。きゅっと服を掴むと、夜はそれにピクリとほんの少しだけ反応した。
「ちっちゃい、柔らかい、壊しそうで、……怖い」
いつも強引な夜らしくないそんな恐る恐る出たみたいな言葉に、ふ…て、笑みがこぼれた。
「そんな簡単に壊れないよ」
言って、クスクスと笑う。
夜は少し身体を起こして、笑うあたしをじっと見つめた。
黒い瞳は、やっぱりあたしを優しく見下ろしていた。
夜はあたしを見下ろしながら、その男の子らしく骨ばった長い指の背であたしの頬に触れた。
その手の熱さに、少しだけ驚いた。
輪郭を確かめるみたいに頬をそっとなぞられて、次に夜の指はあたしの唇に辿り着く。
そのままゆっくりあたしに近づく夜に、あたしは自然と目を閉じていた。
すぐにやってきた柔らかな感触にうっとりする。だけど、重なりあった唇までもが…熱かった。
「ん……ふ……」
触れるだけのキスから次第に深くなっていくキスに、抑えきれない声が漏れた。
それと同時にキスはさらに深く深くなる。
「は…ぁ………っ」
やっと離れた唇に思わず大きく息を吸い込んだ。
乱れた呼吸を整えながら息も絶え絶えに目を開けると、見下ろす瞳と視線が絡む。じっとあたしを見つめる熱い眼差しに心臓はまたもや高まった。
「イイ顔して煽んないで」
「夜のせいだもん…」
夜に、クラクラする。