子猫が初恋提供します。
綺麗な瞳には、熱に浮かされたような顔のあたしがうつってる。
今、夜の瞳にうつるのはあたしだけなんだ…。
それが恥ずかしいのに胸が締め付けられるくらい嬉しい。
「ねぇ…、知ってる…?」
またそんな唐突な言葉にきょとりと夜を見上げる。
「また、もんだい…?」
またあたしの頬に優しく手を添えて微笑む夜。あたしはなんだかおかしくて、クスリと笑みがこぼれた。
「ははっ、それでもいーよ?わかったら、ごほうびあげる」
そんなあたしに夜も楽しそうな笑顔をくれた。
「あはっ!夜がごほうびくれるの?なんだろう?夜のことでしょ?夜のことで知ってること?」
ごほうびの一言にますます楽しくなって、うーん…なんて唸ってみながら考える。
「夜はねぇー、パパ似!」
とりあえず、見て解ることから言ってみる。
「ははっ!見りゃわかんじゃん。ダメ、ぶー」
あたしのほっぺたをむにっと摘まんで今度はちょっといじわるく笑う。
見てわかるはダメなのか?
「うーん、じゃあね、夜はねぇ…甘いものがキライっ!」
次はベッドに寝転んだまま、あたしを見下ろす夜に向かってビシッと指差しながら言ってみる。
「はい、ぶー」
クスクス笑いながら素早くダメ出しする夜にむぅっと膨れっ面になってくる。 その頬を夜がつついた。
そして、はたと気付いて眉を寄せた。
「あ、でも、お土産チーズケーキ持って来ちゃった。食べれないのに、ごめんね」
「んー?気ぃ使わなくてよかったのに。でもにゃあが作ったのなら一口くらい食べたい」
ニコッて笑ってくれて、その言葉が嬉しかった。
「俺のこと後どれくらい知ってるのかもう少し聞いてたいけど、知りたい?」
夜の声がさっきよりも甘さを含む。
「だって、聞いたらごほうびなくなっちゃう」
夜からのごほうびが惜しいあたしは、なんだか色っぽくなった夜にドキドキしながら、うかがうように夜を見上げた。