子猫が初恋提供します。
「くくっ、そんなにごほうびほしーの?」
そんなあたしに夜は楽しそうに目を細めた。
それからあたしの手を取って、その手にそっと口づけた。
「だって、せっかく夜がくれるごほうびなのに…」
ちょっと恥ずかしくなって、あたしは夜の視線から逃れるようにそっぽを向いた。
そしたら夜の「はぁー…」と、ため息をつく声が聞こえて、それに慌てて前に向き直った。
「!」
顔を片手で覆ってる夜を見て、ごほうびを諦めきれない子供っぽい自分を呆れられたのかとちょっと不安になる。
「にゃあ、可愛すぎるからもー俺ダメ」
「えっ!?」
夜はあたしの両手首をベッドに縫い止めた。
「特別にごほうび付きで教えてあげる」
「ほんと…?」
あたしを見下ろす夜を目をぱちぱち瞬いて見上げた。
そんなあたしを見て夜はまたクスリと笑う。なんだか優しい笑い方。
「たいしたことじゃないよ?俺がどれだけおまえを好きか知ってる?って、聞きたかっただけ」
「夜…」
「俺が、ちょーめんどくさがりなの知ってる?」
「や…っ」
どこかふざけた口調で、夜はあたしを拘束していた手首から手を離し、次に右手を取った。
そしてその薬指に、甘く、噛みついた。
そこから、ゾクゾクと這い上がるようなナニかにまた身体が震える。
「ん…っ、し、知って…る…」
息をみだしながらなんとか返事を返した。
「昔っから勉強も運動も必死こかなくてもそれなりにすんなり出来るんだよ。だからかなー、何に対しても本気になったことがないんだよなぁ…」
あたしの指に視線を落としたままそう独り言でも言うかのようにつぶやいて、手を弄りながら、今度は指先にキスを落とす。
手を取られたまま流し見られて強い視線から目が離せない。
夜は仕草ひとつとってもあまりに綺麗で、好きに手を遊ばれながらぼんやりと見とれた。