子猫が初恋提供します。
★ヤバイくらい
【side夜兎】


にあを家まで送り届けて、自宅までの道を一人で歩く。
ちょっと遅くなったかなーと、にゃあパパに悪かったかなぁとか、街頭に灯るあかりを見て思う。

それというのもうちの家族にすっかり気に入られた可愛いにゃあは、夕食を食べていってと必死に引き留める姉ちゃんやうさに断りきれずに遠慮しながらもうちで夕食まで食べていってくれたから。

他人にまるで興味を示さないハルまでが、妙に微笑ましい顔してにゃあを見るから、ちょっと、ムカついたというかなんというか。

そんなもん妬いたってしょーがないんだけど。
つーか、親にまで妬くとか俺、重症じゃねぇ?


「………」


こんなにもハマってしまう自分がいるなんて、知らなかった。


『藤間夜兎はなんでも出来る』


周りは妙に俺を特別のように見る。
ちょっと勉強出来るとか運動出来るとか騒いで何になんだろう?

ハル譲りの顔に寄ってくる女の子なんかもうぜーし。

とにかく俺は、毎日、退屈で仕方なかったのに。

何が出来てもやる気なし、欲もなけりゃー覇気もない。

小学生の時から学校はとにかく寝てばっかりだったなぁー。


だけど、やっと見つけた………俺の本気になれるモノ。


それが、………にあ。


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