子猫が初恋提供します。
夢見は悪かったけど、学校はいたって平和。
今日もいつものように、朝から教室に夜が現われあたしをかまっていく。
「夜、くっついたら暑いよぉ」
「やだ」
いつも通りひっつく夜の胸に手を当て突っ張ってみるけど、決して譲らぬ夜に暑さで情けない声をあげた。
季節は夏に変わりセミの声が騒がしくなって暑さが増した。
あの桜も青々とした緑の葉に覆われている。
「にゃあー!離せータラシー!」
「ハイハイ、自分の教室に戻りますよー」
これもいつも通り、迎えに来た嵐さんに首根っこを掴まれて、夜が自分のクラスに帰って行った。
連れて行かれる夜を見送ったところまではいつもの日常だった。
それが覆されたのは、先生が朝のホームルームで教室に入って来てから。
教室の扉を開いた瞬間、担任の先生が口にしたのは「今日は転校生を紹介します!」の一言でーーー
「入って来なさい」
先生の呼びかけに教室の扉がゆっくりと開いた。