子猫が初恋提供します。
「どうなってんのよ…」
蓮が呆然と呟いた。
蓮はあたしが小学生の時から中学二年生でショウグンが転校するまで、しつこくいじめられてたのを知ってる。
それを庇ってくれてたのは、いつも蓮だった。
ショウグンの意地悪は小学生の時から変わらない。それはそれは子供っぽいイジメだった。
あたしが大切にしてる物を取り上げたり、バレンタインなんかはパパの為に用意したチョコレートをいつも取り上げられて泣いていた。
いくら子供っぽかろうが、あたしには毎日すごくイヤなモノだった。
転校するって聞いた時は、はっきり言って嬉しすぎた。
嬉しくて泣いたほどだったもんな…。
それから男の子とは極力距離を置いた。
あたしの中で男の子は関わり合いになりたくない、そんな存在になっていた。
それがあたしの男の子に免疫のない由縁。
…それなのに、その元凶がこんなにでっかくなって帰って来るなんて聞いてないよぉぉ~~(泣)
しかも正夢かよ!とさらに泣きたくなったあたしはガバリと机に顔を伏せた。
「久しぶりに会ったのに、相変わらずチビだなぁ?おまえ小学生から変わってないんじゃねぇの?」
グサッ!グサッ!グサッ!!
高校生になっても、ショウグンの容赦ない言葉があたしに突き刺さる。
さっきまでクラスの女子に質問責めにされてたのに、あたしのとこにわざわざ来てなんなんだっ!
イケメンだなんだと騒がれていたって、あたしにとってコイツは大キライな《暴れん坊ショウグン》だ。
「あんたも大概進歩のない男ねぇ?でかくなったのって図体だけね」
「っ!どういう意味だよ!?」
そんないじめっ子ヤローに、当時と変わらず蓮が突っ込んだ。
「そのままの意味よ。…にあにはそれじゃあ死んでも伝わんないから」
「!?」
蓮のがいつも一枚上手なんだよね。
どんな意味かよくわかんないけど、ショウグンは妙に慌ててる。
なんでもいいから解放してくれ…。
そんなことをずっと考えてる傷心なあたし。
「なんでショウグンここにいんの…?」
つい、非常に正直な気持ちがもれていた。
「だっ、誰がショウグンだっ!?俺は軍将だ!泣かすぞ!てめー!!」
「!?」
真っ赤になって怒る暴れん坊ショウグンに、あたしはヒィッ!と首を竦めた。