子猫が初恋提供します。
びっくり固まるあたしを見たショウグンが、ゴホンととりなすように咳払いをひとつする。
その音にすらビクリと肩を震わすあたし。
「ま、まぁ、その、なんだ……、おまえぜんぜん変わってねぇし!ど、どーせ男の一人もいないんだろ!?」
「!」
なぜか真っ赤になったショウグンは、あたしを指差しそんなことを決めつける。
くそぅ!ショウグンめ!
いつまでもいつまでもあたしを小学生扱いして!
「だから…っ、な、なんだったら俺が……」
「いっ、いるもん!!」
ゴニョゴニョ何かを言うショウグンの言葉にかぶせて、あたしは伏せた顔を上げて真っ赤になって叫んだ。
「……はぁっ!!?」
ほんの少しの間の後、ショウグンは目を見開いてデカイ声をあげた。
嘘じゃないもん。
あたしには、大好きな夜がいるんだから。
「嘘言ってんじゃねーぞ!?チビにあ!!おまえみたいながきんちょに本気になるようなヤツいるか!!」
「~~い、いるもんっっ!!」
理不尽に怒るショウグンに、あたしもムキになって言い返した。
こればかりは絶対負けない!
だいたいあたしは嘘なんて言ってないんだから!
なんだってショウグンはこんなにもあたしに絡むんだ。
子供の頃から、あたしの何がそんなに気に食わないだよ。
…そう、ショウグンがいじめんのはいつだってあたしだけ。
小学生の時から他の子にはそんな事しない。
だから普通にモテていた。(暴れん坊ショウグンの何がいいんだ)
中学生の時は綺麗な彼女をわざわざ自慢しにきたこともあった。
彼氏いないあたしへの当て付けに…。
シラケた目をしてオメデトサンって言ってやったら、何故かぶちギレて帰っていった。
とにかく、あたしにとってショウグンは、夜とは別の意味で意味不明だ。
「嘘だ!!」
「嘘じゃないっ!!」
「ガキかあんたらは…」
横では蓮が呆れた顔であたし達のやりとりを見ていた。