子猫が初恋提供します。
初対面でいきなりの『キライ』発言にさすがにショウグンも固まった。…ていうより、見ていた全員が固まったと思う。
爆弾をかました当の本人は相変わらずどこ吹く風で、響くチャイムの音に耳を傾けると
「あー、休み時間終わる。じゃあな、にゃあ。また来る。行くぞー?タラシ」
「タラシは余計だよ。またね?蓮ちゃん」
「来なくていいし」
いつものようにあたしの頬にキスを落として、にっこり笑顔で自分の教室に戻って行った。
…因みにその間、ショウグンの事はガン無視である。
「マジで…っ、なんっなんだよアイツ……っ!!」
取り残されたショウグンが、わなわな震えながら拳を握り締め、困惑を残した口調で叫んでいた。
そして授業中。
それなりに真面目に、先生が黒板に書いていく文字の重要なんて言われたところを書き写していた。
教室にはカリカリと皆がシャーペンをノートに走らせる音が響く。
「っ!」
そんな真面目な授業中に、ポカッと頭に微かな衝撃。その瞬間、ころりと転がって机に落ちたのは丸められたノートの…切れ端?
なに…?ゴミ…?
そう思ったけど、なんとなくそれをカサカサと開く。
「っ!?」
開いた紙くずには、でかでかと書かれた《別 れ ろ !!》…の文字。
ご丁寧に赤のペンで書かれたソレをグシャッ!!と握りしめて、あたしはバッ!と後ろの席を振り返る。
こんな嫌がらせをするのはどう考えたってアイツだけだ!!
「……」
そいつ、ショウグンは後ろの席でムスッと不機嫌な顔を隠しもせずにあたしを睨み付けていた。