子猫が初恋提供します。
いきなりの展開についていけないあたしは夜の腕の中でガチリと固まり、目を見開いて視線の先に見える夜のすらりと長い首筋を見ていた。
象牙色のきめ細かな肌と隆起した喉仏……。
女の子にはないそれに男の子とあまりに近い距離にいることを一気に意識し始めた。
「……♪」
そんなことにはまるで気づかない夜はあたしを抱えているとは思えないほど軽快な足取りで進む。
か…顔、熱…っ
てか、いったいあたしをどこに連れて行くんだっ!?
気づけば既に校内を出て明るい日差しの校庭に来ている。
それに熱かった顔は次第に青くなってくる。
予測不能過ぎて何をされるかわかったもんじゃない。
前科があるだけに悪い予感ばかりが胸をよぎるんですけど……。
そうこう考えているうちに夜の足がピタリと止まり…、見覚えのある地味な扉の前に立った。
「あ…、ここ…!」