子猫が初恋提供します。
☆孤高の王子様からの災難
「……まただ。」
早朝の高校の下駄箱で自分のシューズを見て思わず溜め息がこぼれた。
「ちょっと…またなのっ!?」
それを取り出さずに固まるあたしの後ろから覗き込んだ蓮が苛立った声をあげた。
「うん…。」
暗い口調でうつむきながらうなずいた。
目の前のシューズは新入生らしくまっさらな新品だった……のに、
…無惨にも泥まみれのまっくろけ。
人の仕業でなくてなんとする……。
まぁ、何が原因かは予想つきますけどね…。
ここ最近、ほぼ毎日のように…あたしは地味に嫌がらせを受けていた……。
こんなふうに一番の被害にあってるのはシューズで、大概汚されてたり、ゴミ箱に捨てられてたり…
後は机に入れておいたはずのノートがなくなっていたり、お気に入りのシャーペンなんかがなくなってたりと…地味ながら、……痛い。
「はぁ…。」
もう一つやるせない溜め息をつきながらどう見ても履けそうにはないシューズを置いて、来賓用に置いてあるスリッパを手に取った。