子猫が初恋提供します。
扉の向こうを見た瞬間
あたしからもれたのは感嘆の声……!
そこには、あまりに見事な桜の木が立っていた。
扉はあるけど天井はなくて、見上げれば青い空が広がってる。
だから狭い空間にはキラキラと太陽の光が降り注ぎ…
樹齢何年だろうかと思うほど大きな桜の木が満開の花を咲き誇っていた。
あたしは目を輝かせて、思わず桜に駆け寄った。
桜の下には白いベンチが置いてあって
こんなところで昼寝なんてしたら気持ちいいだろうなぁ~!
なんて思いながら、ちょこんとそこに座った。
ここは隠れた中庭のような場所だ。
あんな地味なドアで…もしかしたら知ってる人少ないんじゃない?
なんだかすごい。
特別な場所を見つけてしまったような気分!
あたしは迷子だったことも忘れ、子供のように胸をわくわくと弾ませてベンチにごろんと寝転んだ。
サワサワとそよぐ桜の香りをふくんだ柔らかな風……。
『……ふわ…。』
あたしからはあくびがひとつ。
あまりの心地よさに綺麗さっぱり入学式のことすら忘れて…次第に重くなるまぶたにあらがえず
あたしはゆっくりと目を閉じた………。
思えば、
これがよくなかった。