背後の彼
付き合い始めてからは
毎日、手を繋いで一緒に帰った。

男の子と手を繋ぐのは
それが初めてだった。

私の手より
ひとまわりほど
大きかっただろうか。

あたたかい手だった。


手を繋いで

その日
学校で起きた出来事について話したり

たまには
クレープ屋さんなんかに
寄ってみたり


そしてこの先

彼ともっと深い関係に
なっていくのだろうな

などと
考えたりしていた。


そんな事が
幸せであった。


それから間もなく
彼は亡くなった。

交通事故だったそうだ。
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