クリスマス盗難事件
彼女とは対照的に、紘哉は眉をひそめながら帽子を受け取る。
しばらく帽子をじっと見つめていたが、やがて諦めたようにため息をついた。
「プレゼントのリボンの所に名前が書いてあります。
園児の枕元にも名前の札を置いてあるので、間違えないようにお願いします」
「分かりました」
紘哉は一つ頷くと、袋を片手に部屋を出ていった。
黒いスーツのせいか、泥棒に見えなくもない。
羽兎は苦笑いをすると、サンタの袋を担いで紘哉の後を追い掛けた。