クリスマス盗難事件
園長先生は何回も紘哉に頭を下げる。
そして、申し訳なさそうに顔を上げた。
「あと一つ、お願いできますか?」
「何でしょう?」
「これを……カスミくんとハヤミちゃんに渡してほしいんです」
そう言って彼女は、手に持っていた二つのプレゼントを紘哉に渡した。
「カスミくんとハヤミちゃん?」
羽兎が首を傾げる。
どこかで聞いたことがあるような……
紘哉は何も言わずにプレゼントを受け取った。
「それでは失礼します」
彼は頭を下げ、悩んでいる羽兎を促しながら保育園を出ていった。