クリスマス盗難事件
クリスマス
1
保育園から歩いて15分。
二人はおんぼろアパートの前に立っていた。
部屋番号は201号室。
紘哉は何のためらいもなく、インターホンを押した。
「ちょっ、犯人の家なのにいいの?」
羽兎が慌てて聞く。
しかし彼は少しも慌てる様子を見せない。
「心配するな。犯人はワトコもよく知っている人だから」
「え?」
犯人を聞こうとした瞬間、玄関のドアが開いた。
出てきた人を見た羽兎は、目を丸くした。
「こんばんは。さて、話を聞かせてもらおうか――ケイ」
ケイ――花形恵一(はながた けいいち)は羽兎以上に目を丸くしていた。