クリスマス盗難事件

「今夜は色々なことが起こりすぎだ。
ケーキは盗まれるし、お前のせいで一口しかケーキ食えなかったし……」

「私も盗まれたよ。紘哉さんに」

羽兎はブツブツ言う紘哉の言葉を遮った。
紘哉は羽兎を横目で見る。

「何を?」

「それはね――」

彼女は大きく息を吸った。

「――私の心」

「……」

訪れる沈黙。
羽兎は先を続けた。

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