クリスマス盗難事件
紘哉はポケットに手を突っ込み、羽兎の隣を通り過ぎた。
「……行くぞ。そろそろ時間だ」
「はーい……」
羽兎は肩を落としながら紘哉の後をついていった。
その途中、そっと自分のポケットに手を触れる。
――クリスマスはお世話になった人にもプレゼントを渡すのよ。
昔、母が言っていた事だ。
母の言葉を受け、羽兎は前々から紘哉にプレゼントを用意していた。
渡すタイミング無くした……
彼女は彼の背中をキッと睨んだ。