河童のお皿(・ゑ・)。

 彼女は住んでいる

 マンションから、

 タクシーに乗って

 森の外までやって

 きたのだが……午

 後9時、梢の深み

 に消える花嫁を、

 ドライバーはどう

 思っただろうか。

 幽霊だとか思った

 かもしれない。心

 なし、青ざめてい

たような気がする。

 「美しいです」

 河賢はもじもじと

 うつむいて頬を染

 めた。彼はサテン

 のマントを羽織っ

 ている。
< 217 / 408 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop