ベンチで今日も先生と。



くしゃっ



誰かの手が、俺の髪の毛に触れる。


「………ぁ」



全身がゾクッとした。



「直井……」



俺はその場から逃げようとしたが、先生に手首を掴まれ逃げられなかった。



「ッ……!離してくれ」



振りほどこうとしたら、ベンチの上に押し倒された。



「ちょッ…」



「お前、昼休みに雨の日以外、絶対ここに来てるよな?」





え……?


気がついてたんだ。



「俺が知らないわけないだろ?化学室の目の前なんだから……」



俺は……


自覚してなかったんだ。


先生の傍にいたいと。


ただの憧れではなく……



「俺……」



涙は止まることなく、流れ続けている。



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