春風~HARUKAZE~
「じゃ、じゃあ…春風チャン、わかる??」





母さんは、静かに言った。





「あぁ…佐々木、だろ??」

「ハルカチャンは!?松本ハルカチャンッ。」





今度は杉山が急いで聞く。





「わかる、よ…。何聞いてんの??」

「周、忘れてたのよ…。二人のこと。」

「え…??」





その時、ドアが開く音がした。





「あ……。」

「長倉クン…。」





付き合う前のように、苗字で呼ぶ、佐々木。





「…佐々木…。」





僕も、もう“春風”とは呼ばなかった。





「春風チャンッ。周、思い出したのよッ。」

「え??本当ですか…??」

「えぇ!!良かったわねぇ…。」

「…はい…。」





佐々木は、なぜか淋しそうだった。





「…あ、学校に連絡しておきました。」

「あらあらー…ありがとうッ。」





そういえば…かすかに、覚えている…。
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