春風~HARUKAZE~
「俺さ…ずっとハルカのこと忘れられなくて。もう、誰かを好きにならないって思ってた…。」





ハルカが…死んで、世界は終わったって。

運命なんて、神様なんて、信じないって…。





「…でも…佐々木に会って佐々木を好きになった。この気持ちは、嘘じゃなかったんだ…。前にも言ったけど…好きだったのは本当…。」

「うん…ありがとう…。」





佐々木は淋しそうに、でも少し嬉しそうに笑った。





「ただ…それはハルカへの気持ちとは違うんだ。自分でも、よくわからなかったけど…やっと、わかった気がする…。」





…二人への、気持ちの違いが…。





「…俺、佐々木に…恋してた。」





佐々木は、首をかしげた。

わからない。

でも…これが僕の気持ちだ。





「佐々木の笑顔見ると、嬉しくて、楽しくて…幸せ、だった。恋…してたから…。」

「…じゃあ…ハルカサンは??」

「ハルカは…もっと大きい…。ずっと想いたいって。…愛、なのかな…。」





目の前にいなくても、一緒にいられなくても…

…ずっと、想いたい。

ずっと、僕の心の中にいて欲しい…。

溢れるほどのこの気持ちは、恋よりも大きくて…

…きっと、“愛”なんだと思うんだ…。
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