春風~HARUKAZE~
「…ねぇ、周??」





突然、藍が真面目な顔で言った。





「何だよ??急に…。」





つられて、僕も真剣になる。





「前にさ…ハルカチャンが、亡くなってから…手紙、渡したでしょ??」

「あー…。」





…写真立てに閉まってある手紙のことだ。

でも、どうして急に…??





「あれ…そろそろ読んでみたら??周、読んでないでしょ…??」

「…読んで、ない…。でも、何で…。」

「突然言ったかって??…周の中で、気持ちがまとまったみたいだったから…。」

「え??」

「…ハルカチャンのこと。今の周なら、あの手紙を読んで大丈夫だと思うの。内容は、わからないけど…。」





藍の意外な言葉に、僕は驚いた。

あの手紙は、藍から渡されたもの。

ハルカが死んだ次の日に…。





…今の僕なら、大丈夫??

それは…そういうことなんだろう…。





「あの手紙は、きっと大切なものだと思うんだぁ。ハルカチャンが、どうしても伝えておきたかったこと。だから…今の、ちゃんとした周に読んでもらいたいの…。」





藍は、真剣な顔のまま続けた。
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