春風~HARUKAZE~
「…駄目、だ。これじゃ…。」





『…今ならきっと、大丈夫。…ううん、読むべきだよ…ッ。』





藍の言葉を思い出した。

そうだ…今ならきっと。





ハルカの伝えたかったことを、受け止める。

それはきっと、大切なことだから。





僕は写真立てをぎゅっと握った。

そして…写真と手紙を取り出す。





封筒に書かれた懐かしい字。

綺麗な、ハルカの字だ。





ゆっくりと、封筒を開けて、中から数枚の便箋を取り出した。





…今なら、大丈夫。





僕は、そっと便箋を広げた。

封印を…解くように。
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