春風~HARUKAZE~
「俺さ、ハルカを愛して、佐々木に恋して…良かったって思うよ。後悔してないし、佐々木に出会えて、良かった…。」

「私も、周クンに恋して良かった。」





その言葉は、まるで重なったかのようだった。

あの、懐かしい声と…。





「絶対忘れない。」

「本当に??」

「もちろん。」

「でも…ハルカサンには叶わないでしょ??」






佐々木は、意地悪く言った。





「…それは…。」





僕は、思わず口ごもってしまった。





「ふふッ…嘘。わかってるもの。」

「…でも…忘れない。」

「…私も。」





最初は、“似ている人”だった。

好きになったのも、そのせいかもしれない。

でも…僕は確かに、君に恋をしていた…。





*





静まった会場に音楽が流れ、卒業式が始まった。

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