春風~HARUKAZE~
「あの…二人ともありがとう。」





廊下に出ると、佐々木は頭を下げて言った。





「いいって。なッ、長倉ッ。」

「あぁ。平気か??佐々木。」

「うん。おかげで助かった…。」

「ったく…何だったんだろうな。」





杉山が言った。





「……。」





僕は何も言えなかった。

佐々木も黙っている。





「…二人とも、どうかしたのか??」





その様子に気づいたのか、杉山は僕と佐々木の顔を交互に見た。





「別にッ。」

「何でもないッ。」





僕と佐々木は同時に言う。





「そう…ならいいけど。」





杉山は半分おかしそうに、僕らの様子を伺いながら言った。
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