春風~HARUKAZE~
「佐々…」

「…藍チャン、私、先帰ってる、ね…。」

「えッ…??ちょっと春風ッ!!」





僕は佐々木に声をかけようとしたが、佐々木はそのまま行ってしまった。





「周ってば何やってんのよッ??早く追いかけなきゃでしょ??」

「…藍が行けば??」

「周ッ!!あんたが行くのッ!!」

「……。」





僕は答えなかった。





だってどんな顔すれば…。





「さっきの春風の顔、見たでしょ!?早く行ってあげて…ッ。」

「わかったよ…。」





僕は教室に鞄を置いたまま、玄関へと向かった。

みんなが見えなくなると、急いで階段を駆け下りた。





「ったく…何やってんだよ俺は…。」





一人でそう、つぶやきながら…。
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