春風~HARUKAZE~
佐々木は門から出て数メートルのところをとぼとぼ歩いていた。





「…佐々木ッ!!」





僕は門から叫んだ。

声に気づいて佐々木が振り向いた。





「長倉…クン…。」





佐々木の目からは、今にも涙がこぼれ落ちそうだった。





「ごめんッ!!」

「えッ…??」





佐々木は頭を下げた僕を驚いたように見つめている。





「俺さ、素直じゃなくて…。ずっと気づかないふりしてた。…さっきは何とも思ってないなんて言ったけど…嘘だから…。杉山にしつこく聞かれてさ、いつもムキになっちゃうんだ。でも、本当は…」

「…ありがとッ。」





佐々木はニコッと笑った。
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