春風～HARUKAZE～

「…長倉ｸﾝ、私、何も知らなかった…。こんなの言い訳かもしれないけど…長倉ｸﾝがそんな思いしてたなんて知らなくて…ごめんね…ッ。」





僕は少し驚いた。

こんな返事がもらえるなんて思わなかったから。

死んだﾔﾂを忘れられないなんて情けないって言われると思った。

…いや、佐々木はそんなこと言うﾔﾂじゃないよな…。





「私ね、やっぱり長倉ｸﾝのこと好きなの…。気づいたんだ。私が好きなのは、ﾊﾙｶｻﾝを忘れられない長倉ｸﾝなんだって…。」





確かに、佐々木が知っているのはそういう“僕”だ。





「だから…だからッ、私をﾊﾙｶｻﾝだと思って付き合ってくれませんか…??」





佐々木は、真っ赤だった。

それを隠すように下を向いている。





「…でも…それじゃあ佐々木がかわいそうだろ??」





正直、嬉しかった。

ここまで想ってくれるなんて…。

でも、ﾊﾙｶだと思って付き合うなんて、失礼じゃないのか…??