春風~HARUKAZE~
僕はハルカのことを思い出していた。





一年間心の奥に閉じ込めていたハルカの笑顔や仕草、声…。

他にもたくさんのハルカが浮かんできた。





…ハルカ……。





「長倉クン…??」





急にハルカの声がした。





いや…後ろにはハルカではなく、“春風”がいた。





「これ、鉛筆落ちたけど…長倉クンのだよね??」

 



佐々木は鉛筆を差し出してきた。





「あッ、うん。サンキュ…。」





僕はきっと赤くなっていただろう。

佐々木の顔をまともに見ることができなかったし…。





それが佐々木と交わした最初の会話だった。
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