春風~HARUKAZE~
『……周クン、私のこと、忘れちゃった??』




今度は、ハルカの声。

少しずつ、近づいてくる。

姿が見えた。

ハルカの頬を流れる、涙…??

泣いて、いるのか??





「…ハルカ……。」

『――…クン。』




これは、誰の声だろう…。





「――…クン。…長倉クン??」

「佐、々木…??」





目の前には、佐々木がいた。

…ここは、僕の部屋だ。





「大丈夫??…学校終わったから、来てみたの。お母さん、ちょうど出かけるところだったみたいだけど、あげてくれたから…。」

「そっか…ありがと。来てくれて…。」

「ううん。休むなんて、心配しちゃったッ。」

「ごめん…。大したことないんだけど。寝たら良くなったみたい。」

「謝らなくていいよ??…良かった、それなら。」





…目の前には、佐々木がいる。

変な夢、見てごめんな。

僕は佐々木が好きなんだから…それでいい。





「ちょっと、着替えてくる。」

「あ、うん。」





まだ起きたときのままだと思い出して、言った。





佐々木を残して、部屋を出る。
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