春風~HARUKAZE~
*





次の日、僕は気分が乗らないまま家を出た。





佐々木との待ち合わせのため、バス停に向かう。





「…あ、長倉クン。おはようッ。」

「…おはよ、佐々木。」

「調子、大丈夫??」

「うん。ありがと…。」

「良かった…ッ。」





佐々木の目が、赤い。





無理して笑っているのがすぐにわかる。





僕の、せいだ…。





「…あのさ、佐々木――」

「――あ!!バス来たよッ。」

「あー…うん。」





バスに乗ると、いつものように立って並んだ。





「…昨日の、ことだけど……。」





僕は小声で言った。





「うん。昨日はごめんね??本当、気にしないで。」

「でも…。」

「…いいってばぁ!!ね??長倉クンは心配しすぎッ。」

「そう、かな…??」

「そうだよッ。ほら、学校着いた!!」





バスを降りると、僕達は手を繋いだ。





「…ふふッ。」

「…何??」

「何でもないッ!!」

「何だよッ??」

「別にッ。…ただ、一日ぶりだなぁって。」

「何、それ。」

「いいでしょ。…嬉しいの!!」





そう言って照れる佐々木を、僕は見つめるだけだった。
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