春風~HARUKAZE~
十月二十六日――。





佐々木の誕生日。





「おはよッ。」

「…おはよ、佐々木。」





いつものように、バス停で待ち合わせる。

僕はなんとなく、朝から緊張していた。

今日は、佐々木を家に呼ぶ予定。





「…今日さ、佐々木の誕生日なんだよね??おめでとう…。」

「えッ??知っててくれたの…??」

「…うん。」





実際には、藍に聞いたんだけど。





「ありがとう…ッ!!」





佐々木の嬉しそうな顔を見て、ホッとした。





「それでさ、今日、家来てくれる??」

「あ……うん。」

「…都合悪い??」





少し間があった気がして、僕は聞いた。





「ううんッ。大丈夫!!」

「良かった。じゃあ、そういうことで。」

「うん。」





…ごめんね、佐々木…。

僕は、何も知らなかったんだ…。
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