春風~HARUKAZE~
日曜日――。





僕達は、約束どおり動物園に行った。





「私、動物好きなんだーッ。あ、可愛いッ!!」





春風は、すごく楽しそうだ。

最近見つけた、子供のように可愛い春風。





「本当に好きなんだな…ッ。」

「うんッ。周クン、好きじゃないの…??」

「そんなことないよ。俺も、好き。」





僕が言うと、春風は優しく微笑んだ。





「なんか…不思議だな。」

「え??」

「…なんでもない。」





なんでだろう…不思議。

こんなふうに春風といることが。

ハルカとは違う人と笑っていることが。





そうだ。

春風は、ハルカじゃないんだ…。





もっと早く、気づいていれば良かった。

この恋に、早く気づいていれば。





…もっと早く、ハルカに気持ちを伝えていれば。

この恋は、知らずにいたのかな…。





何で、考えてしまうんだろう…。

隣にいるのは春風なのに。

ハルカじゃないのに。





僕は…自分勝手なのかもしれない。
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