春風~HARUKAZE~
最近、春風はハルカのことに敏感になっている。

僕が少しボーッとしているだけで、悲しそうな顔で『…ハルカサン??』って聞いてくるんだ。

僕は、そんなに不安にさせているのかな…??





*





「ただいま。」

「おかえりー。…あらー…春風チャン??」





母さんが、僕の後ろに春風を見つけて言った。





「こんにちわ…。」

「どうぞどうぞッ。」





そう言って、春風を家に上げる。

一度会ったきりだけど、覚えていたみたいだ。

…ハルカにこんなにそっくりだったら、忘れないか…。





母さんも、ハルカのことを知っていた。

でも、僕と話すときは触れてこない。

ハルカのことも、春風のことも。





「周くんの部屋、三回目かぁ…。」

「だな。…飲み物貰ってくるよ。」

「うん、ありがとー…。」





僕は、あの時のように、春風を残して部屋を出た。




この時…春風を残していなければ。

僕はいつも、何も気づいてあげられないんだ。
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