春風~HARUKAZE~
*





「周ッ!!またボーッとしてたよ??ハルカチャンのことで辛いのはわかるよ。でも仕方ないじゃない。そろそろ新しい恋を探せばいいのに…。」





藍だ。

ハルカが死んでから何度も言っている。





「わかってるって!!もう気にしなくていいだろ??」

「だってぇ…。」





正直、藍には感謝している。

なんだかんだ言っても藍は僕のことを理解している…ところもある。

でも…やっぱりハルカのことは忘れられない。

だからどうしてもきつくあたってしまうんだ。





放課後、僕は校庭の端にある大きな桜の木の下に座って一人ボーッとしていた。

すると、目の前に細くて白くて…綺麗な脚が見えた。

見上げると…佐々木がいた。





「ここ、よく来るの??なんか落ち着くよね。」





この学校に来て十日ほど経ち、だいぶ慣れてきた佐々木は言った。





「あぁ。時々来るんだ。学校の中で一番好きな場所っていうか…。」





僕はドキドキしていた。

相手は単なる転校してきたクラスメートなのに…。





…キュンとした甘い気持ち。





僕はこれがなんだか知っていた。

ただ気づかないようにしていただけだ…。
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