春風~HARUKAZE~

突然に

いつだって、“その時”は突然に来るんだ。



…ハルカの死も、突然だった。

そして…また、突然に……。





「周ー、ちょっと買い物行って来てー??」





階段の下から、母さんの声が聞こえた。





「…わかったー。」





面倒くさかったけど、暇だったから行くことにした僕は、下に聞こえるように答えた。





階段を下りてキッチンに行くと、母さんが何か書いていた。





「……あ、はいッ。これ、リスト書いたから。よろしくねー。」

「はいはい…。」





僕は、その紙を受け取って家を出た。





近所のスーパーに向かう途中、大きな道路に出る前の曲がり角。





…僕の記憶は、ここで途絶えた。





トラックの残像。

大きく響くクラクションの音。





…そして目の前は、真っ暗な闇になった…。
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