春風~HARUKAZE~
「…あら、藍チャン…。来てくれたの??」

「はいッ。…ちょうど看護婦さんに会って…目、覚ましたって聞いたんです…。」





藍は、いっきに喋った。





「まぁまぁ…心配かけちゃったわねぇ…。」

「いえ。…良かったね、周。」

「おー…。」





そう言ったとき、少し開いたままのドアが動いた。





「あのー…長倉クン、大丈夫ですか…??」





入ってきたのは……女の子。





「…あらー、春風チャンッ。さ、入って??」

「はい…。目、覚ましたんですね…。」

「えぇ、そうなのよッ。すぐに退院できるみたいだわ。」

「良かったぁ…ッ。」





母さんと、その女の子が話している。





…誰…??





「…長倉クン、久しぶりだね…。」





女の子は、そう言うと僕に近づいてきた。

母さんと藍は、目を合わせて出ていった。





…僕は、その子をじっと見た。
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