春風~HARUKAZE~
「……あ、良かったね…無事で…。」





女の子は静かに言った。





僕はただ、その子を見つめていた。

…可愛い子だ。

優しそうな雰囲気。

なんとなく、懐かしさを感じる。





でも、その懐かしさが何なのかは、わからない…。





「あの…いろいろ、ごめんね。」





少し経って、また口を開く女の子。

僕は何もわからないまま、動かなかった。





「これからは、“長倉クン”て呼ぶね。前みたいに、戻れるかな…??…長倉クンがいいなら、私はそうしたい…。」

「……ごめん。」

「え…??」





『ごめん。』

なんでこんな言葉が出たんだろう。

女の子の目が、潤んでいたから…??





「俺…わかんない。」

「…あ…うん。そうだよねッ。ごめんね、私、また勝手に……。」

「…違くて……君の、こと…。」

「……私??」





「…君は、誰……??」





僕がそう言った瞬間、女の子は固まった。
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