春風~HARUKAZE~
「……な、何言ってるの??…誰って、私だよ??“佐々木春風”だよ…ッ??」





涙目のまま、必死で、そう言う女の子。

でも僕は…わからないままだった。





「本当に…わからないの…??」





反応しない僕に、やっと理解したのか、彼女は言った。





「…うん……ごめん…。」





女の子は、その言葉を聞くと、病室を飛び出した。

…涙が、見えた。





僕の中で、何かが動く気がする。

それは…何だろう??





優しさのような、悲しみのような…

…懐かしさのような。

よくわからないものが、僕の中にある。





…きっと、どこかに忘れたもの…。
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