春風~HARUKAZE~
話の内容は、僕と彼女との出会い、付き合っていたこと、そして、別れたこと…。





「……まぁ…。別れてたの…??」





母さんは、知らなかったみたいだった。





「はい…。その、ハルカサンのこととか、あって…。」

「…そうね。ごめんなさいね…。」





周りの空気が、何だか暗くなった。





「……そ、そういえばッ。ハルカチャンのことは覚えてるのかな…??」





藍が空気を取り戻すように言った。

…“ハルカチャン”…。

僕には…わからなかった。





「あの…わかんない、その…ハルカ、チャン…??」

「え…ッ??」





僕が言うと、三人は同時に声を漏らした。





「…周…何も覚えてない??」

「うん…。」

「ハルカチャン、よ??松本ハルカチャン。…わからない??」

「…うん。」





少し経って、母さんが口を開いた。





「このことは…少しずつ話しましょうか。」





“松本ハルカ”…その言葉は、僕の中に存在しない…。





…きっと、消えたんだ。

どうして、消えたの…??
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