春風~HARUKAZE~
*





「…こんにちは。調子はどう??」

「あ…えっと…。」

「“佐々木”でいいよ。そう呼んでたから。」

「うん。…ありがと。」





女の子…佐々木は、持ってきた花を花瓶に挿しながら言った。





「…長倉クンに、忘れられると思わなかったなぁ。」

「ごめん…。」

「あッ。謝ってほしいとかじゃなくてッ。」





佐々木は、そう言うと、下を向いた。





「…長倉クンのこと、転校したときから好きだった。…すぐに別れちゃったけどねッ…。」

「…そうなんだ。」





照れながらそう言う佐々木を、可愛いと思った。

もともと、可愛らしい子だ。

…二重でパッチリした目が、特に。

そして、何ともいえない雰囲気。

優しい、温かい、そんな雰囲気…。





…何で、僕はこの子と別れたんだろう。

そう思うほどに、素敵な女の子。





「…どうしたの??」





僕が見つめているのに気がついたのか、佐々木は言った。





「あ、何でもないッ。」





僕はそう言って、目をそらした。
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