春風~HARUKAZE~
「…わ、私も帰ろうかなッ。」

「…明日、学校だろ??わざわざ来てくれて、ありがとう…。」

「ううん。私が来たくて来てるだけだからッ。お大事にね。じゃあね…ッ。」

「うん。じゃあ…。」





なぜか、淋しかった。

一人になることが。

…佐々木が、帰ることが。





「…佐々木…ッ。」





いつの間にか、そう、呼び止めていた。

佐々木は、キョトンとしている。





「その…ありがとなッ。俺、頑張って思い出すから…。それまで、待ってて…。」





どうして、『待ってて』なんて、言ったのか。

僕にはわからなかった。





「……うん…。」





そう答えた佐々木が悲しそうだった理由も…

…わからなかった…。





僕はいつも…佐々木を悲しませていたのに…。

…前だって、今だって…。
< 96 / 130 >

この作品をシェア

pagetop