春風~HARUKAZE~
『――…周クン…。思い出せないの??私のこと…。』





懐かしい声…。

誰なんだ…??





『周クン…。淋しいよ…。』





声の主の姿がうっすらと見えてきた。

…佐々木…??

似ているけど、違う人だ…。





「…君は、誰…??」





そうつぶやくと、ふっと、姿は消えた。





『…戻れるよね??私…周クンの心の中に…。』





僕の、心の中に…。

そうだ、僕がどこかに忘れたものだ。





温かい想いで、いっぱいになる。





記憶の中だけに、彼女はいるんだ。

今は、欠片だけ…。

早く…戻ってきて??

僕の心の中に…。
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