親愛なる「丸」
カッパを着込んで、難波出発。
「きゃー!めっちゃ濡れるー!わあー!」
雨にも関わらず……いや、雨だったから、帰りはより一層君は叫んでいたね。
「あはは、めっちゃ濡れますねー」
信号で止まると、声をかけてきたりした。
「がんばって運転してくださいね!」
言われなくても。
僕も命は惜しいから。
そうこうするうちに、無事君の家に着いた。
「今日は、楽しかったです♪ありがとうございました!」
こんな雨に遭ってそんなこと言ってくれるのは君くらいだよ。こちらこそありがとうだ。
気をつけて帰って下さい、と言って君は家の中に入って行った。
ふう……一息つき、僕は自宅に向かった。
その時はお互いにアパート一人暮らしで、君の家から僕の家まではバイクなら2分くらいだった。
家に着いた僕は、帰ってすぐシャワーを浴びた。
上がった時、携帯には君からのメール――
『今日は本当にありがとうございました!また遊んで下さい♪』
季節は、真夏に向かおうとしていた。