神の森
「父上さま、祐雫も信じます」
祐雫は、唇をぎゅっと噛み締めながら真剣なまなざしで光祐を見つめる。
「祐雫は、母上さまが留守にされても大丈夫だと思っていました。
お婆さまや婆やがいらっしゃるし、お爺さまと大好きな父上さまが
いらっしゃるのですもの。
でも、母上さまが、いらっしゃらない毎日が淋しゅうてなりません。
それに優祐がいないと身体の半分がなくなったように感じます」
祐雫は、祐里の存在とともに、双子である優祐の存在を意識していた。
「神の森に祐里が必要な以上に桜河の家には祐里が必要なのだから。
必ず祐里と優祐を連れて戻るよ」
光祐は、優しい微笑を湛えて、力強く祐雫を見つめ返した。