神の森
祐雫は、優祐の気配を感じ、夢中で社(やしろ)に駆け寄り、
重い扉を外側から力を籠めて引いた。
優祐は、内側から祐雫とこころを合わせるように、
意識を祐雫の腕に集中させた。
双子の絆は呪縛を打破し、再会の喜びで祐雫は優祐を抱きしめる。
祐雫が優祐に触れた瞬間、優祐の身体に絡まった蜘蛛の糸が解けた。
「祐雫、ありがとう。すっきりしたよ」
優祐は、大きく安堵の溜め息をついた。
「優祐、大丈夫でございますか」
祐雫は、蜘蛛の糸を掃(はら)うように、
優祐の背中を優しく擦(さす)る。
西の方角から霊香(れいきょう)と共に
爽やかな風が東の方角へ吹き渡った。
「父上の神事が終わった」
冬樹は、東の祠(ほこら)を仰ぎ見た。
光祐は、しっかりと祐里を抱きしめ、
優祐と祐雫は、光祐の元に走って、寄り添った。
四人の周りには、守護するように桜の花弁が舞っていた。