神の森

「光祐くん、祐里、そなたたちには辛い想いをさせて申し訳なかった。

 祐里の助けで森が治まった。

 それに冬樹夫婦も円満になった。

 この通り礼を申す」


 八千代は、深々と頭を垂れ、傍らの冬樹と雪乃も一緒に頭を垂れた。


濡れた狩衣からワンピースに着替えた祐里は、気持ちまでも軽くなった。


「もう一晩ゆっくりして帰るといい」


八千代は、祐里との名残を惜しんだ。


「一月以上も桜河のお屋敷を留守にしてございます。

 私は、一刻も早くお屋敷の家族の元に帰りとうございます」


 祐里は、早々に身支度を済ませて発つことにした。

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