神の森
「お爺さま、
お父さまの故郷に伺うことができまして嬉しゅうございました。
どうぞ末永くお元気で、冬樹叔父さまと仲良くお過ごしくださいませ」
祐里は、八千代に微笑む。
「そなたは、ほんに不思議な子じゃ。
神の御子(おこ)でありながら、神の森とは別の場所で生きようと
するとは・・・・・・
そなたは、自身の意思でしあわせを掴む力を持ち合わせているようじゃ。
まさに神そのものじゃ。
彼岸の春樹と小夜も安堵しているであろう」
八千代は、微笑む祐里の頬に触れて何度も頷いた。
「お爺さま、私は、私らしく生きているだけでございます。
光祐さまのお側に居させていただくだけで、
私は満ち足りてしあわせでございますもの」
祐里は、光祐を見つめる。
「お爺さま、ご安心ください。
わたしは、いつまでも祐里を大切にします」
光祐は、祐里と見つめ合って、お互いのしあわせを共有しする。
「今でもそなたを手元に置きたいと思うておるが、
そなたのことは、光祐くんに任せよう。
祐里、身体を厭いなさい」
八千代は、祐里を抱きしめて孫娘のしあわせを祈った。