絆 ─言葉が伝わらなくても。─
結希は、本当に小さくて、ふわふわで、白くて、触ったら ふっと消えちゃいそうだった。
そこから、最初は「雪」だったの。知ってた?
大きな目を見開いて、びくびく怯えて毛布にくるまる結希は、
いい子にしてなきゃ お母さんに嫌われるって
怯えながら自分を造る、あたしみたいに見えた。
結希があたしが泣いてる時、慰めてくれるのはその頃からだね。
まだ小2だったあたしと、まだ3ヶ月の結希が目に浮かぶ。
おじいちゃんを亡くしてノイローゼだったあたしを治したのは
結希ひとりだけだった。
あたしの希望を結んだ。
そんな君を
やっと漢字を覚えられたあたしが、「結希」って名前をつけた。
気付いたらあたしは、あの頃の1.5倍に背が伸びたし
結希は白髪が増えて、前よりも模様が薄くなってた。